なぜ中国が学力ランキングで世界トップになったのか。

By KEN@上海, 2020/12/25

今回は、上海現地小学校国際部1年生に通う子供を持つ親として、なぜ中国の学力ランキングが世界トップなのか、上海の子供たちの状況を少しお伝えしたいと思う。

ここ数年、日本の学力が落ちてきた、順位が下がったと言われてるが、実際に、中国やシンガポール等の台頭はデータでも現れている。

上海のPISAランキング2018年は3分野全てで1位、TOP3は全て中華系。


出典:文部科学省・国立教育政策研究所 
https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/pdf/2018/01_point.pdf

OECD生徒の学習到達度調査(PISA)
OECDが進めているPISA(Programme for International Student Assessment)と呼ばれる国際的な学習到達度に関する調査に、我が国も参加しており当研究所が調査の実施を担当しています。PISA調査では15歳児を対象に読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの三分野について、3年ごとに本調査を実施しています。https://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html#PISA2018

私の息子は、現在6歳で小学校1年生。
7月生まれなので、日本ならまだ幼稚園の年長さんの代であるが、中国では9月開始のため既に小学校へ入学している。

まず、前提として、中国では、外国人が入れる学校は3種類しかない。
1)日本人学校(日本政府が補助しているが一応私立で学費は月数万円程度)
2)外資系のインターナショナルスクール(私立のみで学費は月15〜30万円以上)
3)ローカルのインターナショナルスクール(公立と私立で学費は月10〜30万円以上)

うちの子は、上海市実験学校国際部という公立のインターナショナルスクールに通っていて、そこは外国人か外国に何かしらのルーツのある中国人しか入れない。公立でも国際部はどこも私立並の学費がかかる。

外国人オンリーと聞けば入りやすいのかと当初思ってたが、そこは人が多い中国、華僑や海外で生まれた等で国籍だけ外国籍の中国人がかなりいるので、受験での倍率は結構高い。私のような現地日本人家庭も国際化の流れから現地校国際部を希望する家庭も多く、皆さん受験対策している。

上海市実験学校本校は入りづらい学校として有名で、小中高一貫教育で本来12年かかるところを10年で終える。(中国は飛び級で大学入学できる)うちの子は国際部なので、小中しかなく、同じではないが、一部カリキュラムも共有しているので、厳しさは似ているようだ。

ただ、インターといっても、ほとんどが中華系の子が中心。
日本人はクラスにうちの子ともうひとりだけ、あとは、アメリカ籍や台湾、香港等の中華系の子がメイン、白人はほぼいない。いたとしてもハーフの子である。
この学校の特徴としては、英語だけでなく中国語もしっかりと教える事。
外資系のインターは基本的には英語オンリーだから、中国語を覚えさせたい親御さんにマッチすると言える。
また、それ以外の学科もかなりしっかりと教えるので、いわゆる自由なインターではなくて、学力もつけさせたいという中華系の人たちの要望にもマッチしてるのだろう。

時間割表をみてみると、小1でも、毎日8コマもある。
宿題も数学、英語、中国語とほぼ毎日出される。
体育や芸術系は日本と比べると少ない。
クラブ活動は、放課後毎日あるが、全て有料で外部コーチを招いた選択式で、やりたい人だけがやるという方式。
スポーツだでなく、レゴ、ピアノ、ギター等もあったりしてクラブというより習い事という感じが強い。うちの子は、今はサッカー、レゴとギターをやっていて、週末は私と一緒に空手もやっている。

授業は、ホワイトボード・教科書・ノート・鉛筆を使った普通の授業もあるが、大型ディスプレイやiPad、パソコンを使った授業も多く、結構最先端である。iPadは全員用意する必要があり、学校から支給はされない。公立とはいえ、私立扱いで学費が高いこともあるが、買えない家庭への配慮は一切無い。コロナ期のオンライン授業も早々に開始したが、ネット環境や接続機器は全て親が用意したそうだ。

日本との大きな違いは、全てにおいて保護者と学校との連携はとても密であるという点。毎日の通知や宿題は専用アプリを通じて担任や各教科の先生から来るし、クラスのWeChatグループチャットもある。そこには母親だけでなく父親も参加で、積極的に宿題についての質問等が行き交う。宿題には、親のサインやアプリを通じた返答も求められ、また、結構難しい問題も多いから親のサポートが必須である。

数学の内容は、数学オリンピックを目指す子にも対応できるように多様な解き方を求めるものが多く、1年生の問題といえど親も真剣にみないと結構難しい。
日本だと中1で教えるマイナスの計算とか線分とかの図形用語とか普通に出てくる。しかも小1でだ。数学の考え方を徹底的に教えるので、九九はまだ習っていないのに普通にできてしまう。
英語は、本を読んだ要約を録音して提出したり、イラスト、写真、文章でファミリーの紹介をするようなポスターを作ったりと、考えて創作するものも結構ある。
国語は、漢字の国中国ならではで、とにかく、書いたり読んだり、日本の小学生なら高学年以上の漢字もバンバン出てくる。

以前、中国の学生は塾に行かなくてもいいと聞いたことがあるが、これだけ、学校から宿題が出ていたら行く暇もないだろう。
うちの子も受験前は結構沢山塾に通ったが、今はネイティブの交流を増やすための英会話の塾だけで、ほぼ宿題におわれている。
小1の遊びたい盛りに宿題をやらせるのなかなか大変で開始が遅くなると夜11時までかかったりすることもあり、親も根気よく付き合う必要がある。
それでも子供というのは順応が早く、結構楽しくやってる。

国際部でもこれだけ勉強するのだから、(もちろん英語が多いという理由もあるが)他の中国の学校も同じようにやってるようで、中国の学力が高いのも納得できる。日本もゆとり教育をやめてから学力ランキングが上がってきているようだが、さすがにここまでやられたら追い越すのは大変かなと思う。
幼少期からの詰め込み教育には賛否両論あるが、自由な教育なアメリカでも、ハーバードのような有名校に行くような人は小さい頃から必死に勉強しているだろうし、世界の富豪の子どもたちは学力レベルの高いシンガポール等の中華系の学校に通ってる人もいると聞くし、私も何が正解かわからないけど、少なくとも、海外でかつ多国籍な中で様々な経験をしながらしっかりと勉強することは悪くないと思っている。私の幼少期からすれば、6歳で3ヶ国語を使えるだけでも夢のような話であるが、これからの人たちは更に学力や経験、人脈等、様々な要素があることがグローバルで生きていくスタンダードなんだと思う。

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